強く押せるセラピストの苦悩

『脱!強押し宣言?』強く押せる整体師・セラピストのジレンマ

強く押せるセラピストの苦悩

「強く押せる人で。」

そう希望されるお客様ってけっこう多いですよね。

そういわれても、セラピスト側には、順番という制度があるので、「うちは、みんなある程度強く押せるのでご安心ください。」とか、「申し訳ありません、基本順番なのですが、指名料500円でご指名は可能です。」とか、ご案内する方も、一苦労な要求なのですが。

なぜって、そりゃ、強押し希望のお客様を回したら、ふつう嫌がられるからですよね(^^ゞ

「いいよ、いいよ、強押し希望のお客様、全部オレのとこ持ってきなよ~」

そう言ってくれるセラピストに、私はこの15年、出会ったことがありません。

それだけ、体にかかる負担が大きいのですよ。

自分の関節にかかる負荷の限界を超えて、60分間~120分間もの間、体重を乗せ続けることがどれだけ大変なことか、お客様にはわからないのでしょう。

しかも、1日1人だけ施術してるわけでもなく、数ヶ月限定の短期バイトをしてるわけでもない我々は、度重なる限度を超えた負荷が、積み重なり、蓄積型の損傷が回復を大きく上回っていくのですから。

不満にあふれた出だしとなったわけは、まさに、私自身が長年直面してきた課題だからなのです。

強く押せるセラピストのジレンマ

(オレ…強く押せることで損してる…)

強く押せるセラピストの方は、誰しも一度は感じたことがあるでしょう。

女性のセラピストの方などは、その辺たくみですよ。

「強く押せる人で。」

「じゃあ、男性希望にされますか?」

などと、強押し希望のお客様は、男性に振ってしまおうとするのですから…。強く押せるということは、その分、関節の摩耗を進行させることを知っているでしょうに。

それでも、いざ担当すると、やっぱりそこには、硬いコリがあって、自然、コリの強度に合わせた圧を入れてしまうのです。

そして、最悪の瞬間を迎えます。

「またお願いします!」

「お名前教えてください!」

きづいたら、私のラインは、強押し希望のお客様でいっぱいになっていきました。

特に、土日は、モンスタークラスでうまるため、精神的にも肉体的にも本当にボロボロになりました。

強押しのお客様の割合

私だけが特別ではないでしょう。

整体師やセラピストとして、リラクゼーション店舗などに所属して働く方で、圧が入る方は、誰しも同じような状況に陥る可能性が極めて高いです。と、言うより、普通、そのようになっていきます。

その流れには明確な理由があるからです。

まず、マッサージや整体屋さんを利用するお客様には、

  1. 強押し希望
  2. 普通押し希望
  3. 弱押し希望

3つのタイプのお客様が訪れます。

割合として、世の一般則と、私自身の15年のセラピスト経験に照らしていうと、

  • 強い押し希望=20%
  • 普通押し希望=60%
  • 弱い押し希望=20%

と、ザックリと分類できるかと思いますが。

中でも、強押し希望のお客様は、リピート率が高まる傾向が極めて強いです。

ですので、一度お気に入りのセラピストをみつけたら、毎週通うというパターン化しやすいお客様だということです。

現場にいる方なら、怖い位わかっているかもしれませんが(^^ゞ

まあ、リピート率を加味して考えると、単純に2:6:2の法則に当てはめた分布数も、マッサージや整体店舗の利用者を表す指標としてはまだ不正確と言えますね。

それでも、少なくみても、20%程度の強押しを求めるお客様がいることは事実でしょう。

なら、セラピスト一個人が、担当するお客様の総量の中で、20%の強押しのお客様が存在することは、自然なこととして理解できますよね。

まさに、強2:普6:弱2、位の割合で日常の施術業務をこなしている、というセラピストの方は、自然なサイクルで働けている証拠です。

ですが、強く押せるセラピストが所属型で働くと、この割合が大きく変化してしまうのです。

強押し担当セラピスト

ここは、図を見ながらの方がわかりやすいと思うので、ユーチューブでの解説をどうぞ☆

ようするに、強く押せる人、人より圧が入るセラピストには、お店中の強押しのお客様が集まってきてしまうということ。

自然、強押し担当セラピストの誕生…というわけですね(>_<)

『脱!強押し宣言』5つの具体策

しかし!全国の強く押せるセラピストの皆様!!!このまま黙って泣き寝入りしていてはいけません。

あなた自身を守れるのは、あなたの他誰もいないのですから!

回りのセラピストもみんな必死です。悔しい気持ちは痛いほどわかりますが、決して、あなたの身体を壊そうとしているわけではないのです。

だから、今こそ…『脱!強押し宣言』をしてみませんか?

そのための具体的な対策を、5つほど上げてみました。

  1. 早く開業する
  2. 歩合を上げてもらう
  3. 掛け持ちで働く
  4. 施術法を見返す
  5. 精神を鍛える

さて、では、簡単に解説しますね!

1:早く開業する

強く押せるセラピストの方は、早く開業しないと関節の摩耗損です。サロンに所属していては、サロン内の強押し希望のお客様を一手に集めてしまいますからね。

でも、強押く押されるのが大好きなお客様って、開業したあとのことを考えると〝良いお客様〟だと思いませんか?毎週のように通ってくれるのですからね。

反対に、弱くしか押せないセラピストが開業しようとしたら、どうでしょう?何らかの工夫をしない限り、なかなかリピーターが定着しずらいですよね。

つまり、開業後は、逆転するのです。というより、ある程度圧が入る方でないと、そもそも開業に踏み出すことさえ勇気がいるはずです。基本、我が身を用いてコリをほぐす仕事なのですから、最低限の身体能力は必要ですからね。

だからこそ、強く押せる方は、どうか腐らないでください…。誰かを恨むよりも、自分の才能を捨てるよりも、1年後、2年後を目指して開業予定を立ててみませんか。

2:歩合を上げてもらう

ここも、ユーチューブで解説しますね。

ただ、強押しの指名でうまるような方は、一般的に上手いと言われるセラピストでしょう。オーナーからしたら、そのような、お店のトップセラピストはとても資産価値の高い存在と言えます。当然、辞められたら、痛手は大きいものです。

ですので、辞めることを引き合いに、歩合をギリギリまで高くしてもらうようにしてください。目の前のお客様に最適な施術をしたい、手抜きみたいなマッサージなんかゴメンだ…、そんな職人派セラピストの方は、ぜひ歩合を上げてもらって、早期開業の助けとしてくださいね!

3:掛け持ちで働く

私も一時は、3つ掛け持ちで働いていました。

掛け持ちで働くと、色々なお店の施術法を身をもって学べるし、多角的なアプローチにより、関節にかかる負担が多少なりとも分散されるため、身体に無理なく長期間の労働を可能とします。

しかも、3つ位掛け持ちで働くと、指名も付きづらくなるので、強押しの指名に囲まれて身動きがとれなくなっているセラピストの方は、一時的でもよいので試してみる価値はありますよ!

4:施術法を見返す

前提として、強押しの指名でうまるような方の施術法は、大きく間違っている可能性は少ないです。

むしろ、売れる施術法の1つとして、ある程度、確立された手法と言えるでしょう。

しかし、長期間に渡り、反復して施術することを考えた時、そこから、ただ指名が取れる施術法から、一歩先に進む必要があるとはいえるのです。

この点、私自身も、今まで色々、試行錯誤してきました。ここでは、詳しく触れませんが、やはり何よりも施術者の身体を壊さない施術のやり方を既存のやり方に組み込みながら再構築していくことは、プロとしてこの道を生きる以上、必須課題の一つだと思います。

また改めてご紹介していきますので、よければ、ユーチューブのチャンネル登録よろしくお願いいたします!

5:精神を鍛える

最高の仕事をしたい。本当にそれだけですか?

良い人でいたい…。お客様を怒らせたくない…。説明するのが面倒だ…。強押し希望のお客様に対して、一切手抜きなく、身体の限界を超えて押してしまうその裏には、そんな気持ち、つまり、自己弁護、逃避、その場主義、的な考えがありませんか?

私はありました。やはり、「もっと強くて大丈夫です!」そう強い口調で言われるのが、苦手でした。そんな、その場主義的な精神で、必死に施術してきた結果、大切な関節を壊してしまったのです。

もはや取り返しのつかないことです。

全ては、私自身の精神の弱さが招いた結果です。

強く伸びのある圧が入るセラピストは貴重です。ただ、その圧は、自分だけでなく、未来のお客様のためのものでもあるはずです。

その圧を、その身体を、目の前のお客様に臆して、自ら削ってしまうことは、セラピストとしては未熟だといえませんか?

まとめ

それでも、例え、その場主義、弱腰精神ありきの、頑張り屋だとしても。

やっぱり、目の前のお客様のために手抜きに走ることなく、必死で施術しているセラピストは私は好きです。

きっと、お客様がそのような方を指名するのも、圧だけでなく、その人柄に実直さを感じてのことだと思います。

ですので、どうかその素質を殺さないでくださいね。

私自身も、ムリして施術してきたことの、その全てがムダではなかったと思います。様々な経験を経てこそ、深みのある整体セラピストであれるはず…ですので☆

>手技や解剖の独学・新メニュー開発のヒント『セラピスファイトYouTube』

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