「けいれん性発声障害」を抱えながら、セラピストを6年も続けている理由

発声障害とは〜ある日突然、声が思うように出なくなり、気づけば20年以上の付き合いに

私はある日突然、声が思うように出なくなりました。

発声障害の一種です。

  • はっきりとした原因は分からないこと
  • 幾つかの治療法はありながら完治は難しいこと

「必ず完治するなら、行動できるんだけど…」

症状を悪化させると言われる「またなったらどうしよう…」という予期不安とも、思春期頃から、気づけば20年以上の付き合いになります。

今では、インターネットの普及により「発声障害」について知られたり、保険で治療が出来るようになったりと、少しずつ認知されているようです。

スッキリ克服!…とは言えませんが、

長い年月の中で自分なりに少しずつ克服したり、年齢と共に考え方が楽になって緩和したのを感じます。

色々ある声の病気

声に関する病気が認知されつつある昨今、川崎麻世さんが機能性発声障害について告白されたニュースも記憶に新しいです。

芸能のお仕事をされている方の発声障害の告白は、近年でずいぶんと増えたように思います。

同じように病気を抱える人、自分や身近な人の症状として知らなかった人にも「もしかしたらあの病気なのかな」と、病気について知る大きなきっかけになるはず。

影響力のある方の勇気ある告白は、同じ悩みをもつ人にとっても大きな希望だと感じます。

米国では,人口の3分の1が過去に何らかの音声障害を経験したことがあり,人口の約7%が現時点で何らかの音声障害をもっていると報告されている。

引用:声の疲労  城本修

私が抱える「けいれん性発声障害」

声の病気にも色々あります。

私が抱えるのは、「けいれん性発声障害」です。

  • 喉にギュッと力が入ってしまい、声でコミュニケーションが思うように取れない
  • 完全に声を失ったわけではない
    (笑い声、裏声など自然に出しやすい声もある)
  • 人それぞれ苦手な発音がある
    (あ行が出にくい等)

…などなど。

「さっきまで普通だったのに、突然出ない」とか

「笑い声は普通なのに、喋ろう!と思うと振り絞るような声になってしまう」

など、声の出に大きなムラがあります。

大人になった今は多少声がおかしくてもうまくやり過ごす事が出来るけれど、発症したのは思春期の頃でした。

当時、学校生活やアルバイトで声が出ない事は本当に辛かったです。

  • 出席確認の返事
  • 号令の一言
  • 音読する時…

生き地獄でした(ToT)

周囲に相談したり、理解を得て協力してもらう事もありましたが、学校での毎日・毎時間のストレスは今思うと相当なものだったと思います。

当人にもコントロール出来ない不安定な状況なので

「どうしたの!?」「大丈夫?」

という心配の声は時としてプレッシャーであり、みんなと違うという不安や悲しみはどんどん深くなるばかりでした。

セラピストは、人と会話をする仕事。

当然、「声が出しづらい」なら不向きなはず。

そんな私が、なぜセラピストを6年も続けているのか?

今回は、現在もけいれん性発声障害とつき合う私が

  • なぜセラピストになったのか
  • ちゃんと会話はできたのか
  • 苦労する点はあったのか
  • マスク着用時に心掛けていること
  • セラピストをオススメする理由

について、実体験からお話します。

 

声の出ない不安があった私が、セラピストになった2つの理由

けいれん性発声障害だった私が、なぜセラピストという、会話をともなう接客業を選んだのか?

その理由は、大きく2つありました。

理由1、セラピストへの憧れがあった

1つは、セラピストという仕事に憧れがあったからです。

ボディケアを受ける事が好きで、自分も学んでみたいという思いが長い間ありました。

ひと昔前は“専門学校等で学ばないと選べない業種のイメージ”で、未経験向けの求人はあまり見かけたことがありませんでした。

しかしここ数年でリラクゼーション店は増え、ほとんどが研修有り・未経験OKの求人。

「これはお仕事に出来るチャンスだ!」と応募したことが始まりでした。

やりがいを感じた事はもちろんですが、その日の頑張りを感じられる歩合制の報酬、自由に過ごせる待機時間なども今までに経験した職種とは違い、大きな魅力でした。

※詳しくは以下のブログより♪

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理由2、1対1の会話は意外と得意だった

2つめは、私の場合、対個人の会話は意外と得意だったからです。

決して会話自体が上手いという訳では無いのですが、一対一だと発声のしづらさを感じにくく、いつもより安心して会話が出来ます。

接客業にも長く携わっていたので、そういった面でも抵抗はありませんでした。

セラピスト業は、

  • 静かな場所でひとりのお客様と向き合えること
  • 大きな声を張り上げなくていいこと
  • 周囲の視線が集中しないこと

これらの全てが思いがけず好条件でした。

もし時々声が出にくくても、何とか修正して会話を続ける事が出来ます。

それとは逆に、

  • レジ打ちで読み上げを続ける
  • 人前でお客様の名前を呼ばなければいけない
  • 騒音に負けない声を出さなければいけない

そのような仕事は、周囲に人が多いため緊張しやすく、声のコントロールもしにくい…恐らく今でも苦手な状況です。

やりがいを感じられる仕事にも出会っても、1日を振り返った時に声での失敗や反省がある。

それはとても悔しかったり情けなかったり…とにかくストレスでした。

セラピストの仕事では、声に関するストレスが比較的少なく『辛さを感じにくい』点でもとても良かったと感じています。

 

発声障害の私は、ちゃんとお客様と会話できたのか

個人での会話は大丈夫!という自信があったせいか、多少声が不安定になる時はありながらも何とか乗り越えました。

セラピストデビューした頃は、施術に全神経を持っていかれるのでそれどころじゃない…というのも良かったのかもしれません(>_<;)

現在は“完全に声が出ない”という状況にはならないので、うまく聞き取ってもらえなかったかな?という時には、落ち着いてもう一度お伝えします。

けいれん性発声障害の場合、無意識に喉をギュッと閉めてしまうため「振り絞るような声」になるのが特徴です。

普段の声を知ってる人にこそ本当に驚かれるので、それがまた辛い部分でした。

突然声質が変わるため、

  • 誤魔化すために咳払いをしたり
  • 喉を変に酷使して声がかすれてしまう

せいか、昔はよく「風邪ですか?」と一年中聞かれました。

セラピスト業では、声が出なくて多少失敗したとしても、メインで頑張る部分はもちろん施術。

必要な事を会話で確認した後は、目の前のお客様にとにかく集中!と気持ちを切り替えます。

声を気にしすぎず働ける環境のため、大きなストレスが減り、仕事で話すことへの自信を徐々に取り戻していくリハビリの時間のようにも感じました。

発声障害を抱える人にとって

× 声のやり取りが多い、またメインになる職業は、心身共にストレス・負担が大きい。

〇 圧倒的に施術時間が長いセラピスト業は、心身共にストレス・負担が軽い。
→予期不安に振り回され過ぎないから

だと身をもって実感します。

施術の現場で苦労する点はあったのか

ワンフロアに施術台を並べている店舗のため、完全に人目がない訳ではありません。

なので、一度周りのスタッフの視線を気にすると...なんだか緊張するな〜(^_^;)という時はあります。

でもセラピストの良いところはなんと言っても各々の世界に深く没入する事!

半分覚醒、半分瞑想してるときが、一番リラックスした施術になる気がします。

そのため、例えチラチラと目が合ってもみんな各々の世界(目の前のお客様)へ意識や思考は帰って行きます。

それを知っているから、例え少しくらい私の声がおかしくても誰も気にしていないだろうなと思えます。

それより自分もリラックスしていないと良い施術が出来ないから落ち着こう!と気持ちを切り替えられます。

 

発声障害を抱えるからこそ、接客時の笑顔をより大切に

それとひとつ、発声障害を抱えているからこそ気をつけていることがあります。

長く接客業をしていたから身についたことだと思うのですが、とにかく笑顔でお迎え・お見送りしようと心がけています

  • 誰しも、不安な事があれば気分も表情も沈みます。
  • 発声障害で声が出にくい時も、憂鬱な気持ちになります。

でも、それを私がやってしまうと、声が綺麗に出ない分、本当に無愛想になってしまうのです。

なので学生のアルバイト時代から、笑顔での接客を大切にしていました。

そのおかげか、沢山のお客様に笑顔を褒めて頂けたり、元気を貰ってるよ!とお声を掛けて頂く事が多くありました。

そんな私も、失敗したことがあります‥。

失敗経験から学んだ『マスク着用時』の注意点

セラピスト業以外での失敗経験なのですが。

当時、慣れない仕事に携わった際に、一人のお客様から無愛想だとクレームを受けました。

今までとは真逆の出来事に、何がいけなかったのだろう?と慌てます。

そんなつもりはなかったけれど…

余裕の無さから何か失礼な態度をとってしまったのだろうか?

声の出にくさから、受け答えがぶっきらぼうに伝わってしまったのだろうか?

でも他には…??

いくつか考えて行く中で、もしかしたらと思い当たったのが

その日は『マスクを着用』していたのです!

マスクをしていると表情のほとんどが見えません。

痙攣性発声障害は、喉が不安定になりいつもより声が上ずってしまったり、喉を潰すように話すため逆に低くなってしまう事もありますが。

いつもは声がぶっきらぼうに聞こえてしまっても、表情でカバー出来ていたのかもしれないなと思いました。

なので、マスク着用時こそ

  • きちんと目を見て接客
  • 口角を上げて挨拶(声も明るくなる)
  • 目元も笑う

を意識しようと思えた出来事でした。

これは痙攣性発声障害に関わらず、大切なこと。

コロナ禍でマスクが当たり前になった今こそ、意識して気持ちの良い接客を心がけたいですね(*^^*)

声が出ない悩みを忘れ、会話の自信を取り戻した仕事、それがセラピスト

6年セラピストをしていて、本当に極わずかですが、仕事中に声が出なくなったときもありました。

声が出ないトラウマなのか、今でも声が引っかかるようなときはあります。

過度に緊張してしまったり、声の出なさを意識してしまう時です。

どんな仕事でも同じようなことはあり、セラピストも100%例外とは言いません。

 

でもそんな私が、声が出ない悩みを忘れ、会話の自信を取り戻した仕事、それがセラピストです。

お客様の体に触れ、心の声に耳を傾ける。

手のひらを通して静かに集中する時間は、まるで瞑想しているようです。

声を伴う会話も必要ですが、セラピストの仕事は声なき会話もとても重要。

夢中になるほど、自分の声のことなんて忘れて没頭してしまう、そんな形にとらわれない世界が気に入っています。

もし今、声が出づらい方、お仕事から長く離れて自信をなくしている方がいたら、私的にはセラピスト、オススメです☆

リハビリを兼ねてのお仕事にも最適かもしれません。

これから一層スタンダードとなる、ダブルワーク的な働き方にも最適なお仕事ですよ😉

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