スウェディッシュマッサージについて、簡潔に説明した後で、6つの手技+αを実演を通してご紹介させていただきました!
滑らかな手つき、リズミカルな動きは、『世界一気持ちいいマッサージ』と言われるスウェディッシュマッサージの特徴です。
他にも、『指圧では強すぎる…リンパマッサージでは物足りない…方へ』などのキャッチコピーでも知られています。
さて、そんな魅力的なスウェディッシュマッサージについてご紹介させていただきます!
スウェディッシュマッサージとは
スウェディッシュマッサージは、西暦1800年代に「パー・ヘンリック・リング/Pehr Henrik Ling」によって開発された徒手によるオイルマッサージです。
パー・ヘンリック・リングは、スウェーデン生まれの医師であり、詩人でもあります。
当時のスウェーデンは、約20年に及ぶ立て続く戦争により疲れ果てていました。そんな時代に〝戦争で疲弊した全ての国民を元気づけるために〟という、国王の名を受けて完成されたマッサージなのです。
そのため現在でも、スウェディッシュマッサージは贅沢なリラクゼーションというより、治療的なマッサージとしてのイメージが、特に欧米では強いのです。
欧米のマッサージスクールや、サロンで、スウェディッシュマッサージをアピールしているところが多いのは、スクールやサロンの信頼性を高めることができるからです。
東洋と西洋の違い
東洋では、効かせる強いマッサージの方が治療系のイメージもあり好まれます。比較的、欧米では強すぎる刺激は好まれない傾向にあります。(グローバル化等で従来の傾向が変わりつつあるように感じますが)
パー・ヘンリック・リングは、2つの偉大な功績を残しました。
- スウェディッシュマッサージの開発
- スウェーデン体操の開発
スウェーデン体操
スウェーデン体操は、国民の体力養成を目的として、パー・ヘンリック・リングによって開発されました。
第2次世界大戦前に,軍事予備教育としての役割が評価され,世界約40ヵ国以上で導入されました。明治35(1902)年に日本にも伝わります。
「肋木(ろくぼく)」
体育館の周囲にある「木のはしご」みたいな物は「肋木(ろくぼく)」と呼ばれる、スウェーデン体操で用いられた道具です。現在では、体育の授業で使われることはなくなりましたが設備として残っております。
近代オイルマッサージの原点
リング自身の専門分野でもあった、保健体操、解剖学や生理学の知識を基に開発されたスウェディッシュマッサージは、のちに世界各国のマッサージ専門家や、医師からも注目を集めます。
そして「スポーツマッサージ」「リンパマッサージ」「アロママッサージ」などの〝近代オイルマッサージの原点〟として、欧米を中心に世界中に広がりました。
スウェディッシュマッサージ3つの特徴
特徴1.緩やかなリズム
スウェディッシュマッサージのリズムは、他のマッサージのリズムと比べて〝ゆっくり〟としています。
セカセカした、エステの痩身に多い素早いリズムとは異なり、初めから終わりまで、終始穏やかで流れるようなリズムを保ちます。
この、途中で途切れることのない心地よさの連鎖も「世界一気持ちいいマッサージ」といわれる所以なのです。
スウェディッシュマッサージは、効果と何よりその〝心地よさ〟から、世界中のサロンで注目されているのです。
特徴2.少量のオイル
スウェディッシュマッサージでは、他のオイルマッサージより〝少量の〟オイルを用いて施術します。
元来、治療を目的としたマッサージであるため、適切に筋繊維をつかむ必要があるからです。多量のオイルを用いると、ヌルヌルと滑り、圧が逃げ、力で無理やり押しこむ形となります。
最小限の力で最大の効果を引き出すためのマッサージとして、実に理にかなっています。
特徴3.施術者への配慮
スウェディッシュマッサージでは、施術者のフォーム(姿勢)に徹底してこだわります。
「適切な圧のコントロールが可能」であり「施術者の関節への負担を最小限に抑える」という、マッサージにおいて最も大切な要素を満たすためです。
- フェンサーポディション
- ライダーポディション
という、2つのフォームを用います。
スウェーデンマッサージの本場では、まずこの2つのフォームをとれるようになることから学び始めます。
施術フォームの徹底
実際のマッサージの練習には何日も入れないほど徹底されたもので、施術の練習に入った後も、ことあるごとにフォームの指摘がなされるのです。
フェンサーポディション(ベッドの側面時での施術姿勢)
「パー・ヘンリック・リング」は、20代の時にフェンシングをはじめます。その中で、様々な身体動作を身を通して学んだのです。
そして、マッサージにフェンシングのフォームが相応しいことに気が付くのです。
フェンシングとは
オリンピックで第一回から正式競技となっている西洋の剣道のようなスポーツです。
フェンシングは「En garde (アンガルド)」という構えの姿勢をとり始まります。
- 肩と腕は脱力を意識。
- 腰は落とし上下させない。
- 視線は平行を保ち、顔は利き足の方向。
- 剣先は相手の鼻先に。
勇者のポーズ2(ヨガ)
フェンサーポディションと、勇者のポーズ2/ヴィラ・バートラ・アサナ2(ヨガ)はよく似ています。
当サイト主催の整体スクールでは、勇者のポーズを施術フォームの基本として用いています。
以下に、勇者のポーズを施術フォームとして意識する時の『10個の注意点』をピックアップします。
- 後ろ足を蹴り込む
- 後ろ足のかかとは浮かさない
- 後ろ足の内転筋を背骨に通す
- 殿筋と下腹部を引き締める
- 背骨は首まで垂直(原則)
- 目線は平行(下向かない)
- 下肢の充実、上肢の軽さ
- 前足のひざは出し過ぎない
- アゴを引く(出し過ぎNG)
- 足から手へ伸びやかに圧を通す
以上の10項目ができていないと、圧に伸びがでず、気持ちよくない施術になるばかりか、施術者自身の故障にも繋がりやすいです。
「正しい施術フォームは、施術者の一番の財産になる」といっても過言ではありません!
もし自信のない方がいたら、当サイト主催の整体セミナーにぜひご参加ください。
ライダーポディション(ベッドの正面時での施術姿勢)
乗馬の姿勢です。
相手は生き物ですし、本来は専門的なポイントもあるのでしょうが、施術フォームとして特に気をつけていただきたいことをあげます。
- 上肢の虚脱(手首はニュートラル)
- 下肢の充実(内側意識)
- 目線を上げ遠くを見る
両足幅を肩幅よりも広めにとり、体が安定して施術しやすい位置に定めます。両ひざをベッドの高さと、施術部位に応じて、適宜、軽く曲げましょう。 施術中、上半身は、できるだけ垂直を保つようにします。(馬に乗っている姿勢を思い浮かべてください。上半身はすくっと上に伸び、膝が少し曲がっています)
引用元: スウェーデンマッサージ入門
広橋憲子さんのスウェーデンマッサージ入門は、初級者~上級者まで幅広くおすすめの本です。
日本の現状〜母指を多用する量産型サロン業務
日本では、多くの施術で母指を多用します。
施術を量産するようになって半年位の期間は、たしかに母指は成長し強くなっていきます。
しかし、ある時期を超えると、母子自体の強化という意味での成長は止まります。
そこからは、良くも悪くも、少しずつ指が変形(適応変化)することで母指圧を量産する日常業務をこなしていきます。
ただいずれは、適応変化の限界を超える部位(指、手首、首など)が表れ、どこかしらに損傷を起こしてしまう施術者が多いのです。
強化成長→弱化変形
週5勤務or月6休の8hレギュラー、1日平均300〜400分以上で半年程度。
それ以下のペースで1年程度。
上記が、量産型サロン勤務セラピストの母指の強化成長期間と言える範囲です。
あとは、年齢、強押しの頻度にもよりますが。
想像以上に短いので気をつけてください!!!
生涯、強化成長へ繋がるような働き方を大切にしてください。自らの関節を守りながら、筋肉を発育させていく、体育(たいいく)の視点で施術スタイルを再構築していきましょう。
整体スクールの意味
当スクール(当サイト)では、施術者の関節にかかる負担の分散を最重要課題の一つとしています。
この度、スウェデッシュマッサージについて改めて振り返り、この当時に、今の時代と同様の思想を元に発達したマッサージがあったことに、驚きと尊敬を感じました。
当スクールの手技は、どうしても量産化せざるを得ない、第一線での施術業務を、少しでも体に無理な継続できるスタイルを理想としています。
関節への負担の分散のための多角的アプローチの研究に十数年を費やし、世界中の手技の良いところを取り入れながら、今なお試行錯誤を繰り返しています。
それは、「多くの先人の英知」を「現代の施術として結晶」させる作業とも言えるのかもしれません。
整体スクールの主催者として、同じ道を、少しだけ先に歩んだ者として、『施術者の関節にかかる負担を、できるだけ軽減させる働き方を伝えること』を使命としています。
そのために、
当スクールでは、以下の3つの身体操作をご習得いただいております。
- 多角的アプローチによる関節への負担の分散
- 足裏を圧の起点とする波長の長い圧
- 体幹意識と呼吸の連動
それでは、事項、スウェデッシュマッサージの施術の流れについてみてゆきましょう!
スウェディッシュマッサージの流れ
うつぶせでの流れ
- 腰
- 背中
- 首
- 頭部
- 臀部
- 下腿部
- 大腿部
仰向けでの流れ
- 腹部
- 手
- 前腕
- 上腕
- 足
- 下腿部
- 大腿部
- 胸部
- 顔
上記がスウェディッシュマッサージの施術の順番になります。
厳密には、施術者によっても違いますし、お客様やその日の状態に合わせて臨機応変に組み立てていくことになりますが、東洋系との流れの違いなど、ご参考いただけるポイントもあるかと思います。
顔のマッサージ
驚くことに、スウェーデンでは、医療の一部としてフェイシャルマッサージが行われているのです。
心身の不調の改善を目的としたフェイシャルマッサージを最重要のメニューとしているサロンもあるほどです。
日本のように、美容が第一の目的とは限らないのです。
〝ストレス社会〟と言われる現代では、フェイシャルマッサージの重要性は、実はとても高まっているのです。
心の不調のみならず、眼精疲労、脳の疲れ、アゴの疲れ、ノドの疲れ、耳なりなどの身体の不調の改善に非常に効果的だからです。
今後、日本でも、スウェーデンのように、フェイシャルマッサージをより幅広くご活用いただけるようになれば嬉しいですね!
最後に
いかがでしたか?
今回は、スウェディッシュマッサージの具体的な施術については掲載できなかったので、改めて、施術や効果についての記事も書いていきたいと思います!
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