現在全国に640以上の店舗数を持つ、リラクゼーション業界大手のりらくるですが、その流行の背景には、格安料金、
60分 2980円(税抜き)という価格で、“全身もみほぐしサービス”の提供を始めたことが、流行の大きなポイントだったといえます。(2010年頃)
それまで、リラクゼーション業自体に流行の上がり下がりはあったものの、“10分=1000円”が相場と言われ、現在でもその価格基準で提供しているお店もあります。
しかしながら、りらくるは、価格競争の中で先陣を切るように、『1時間3000円程度で体をほぐしてもらえるお店』としてインパクトを生み、徐々に、同等のお値段で“全身もみほぐし”を行うお店が増えていきました。
地域性にもよると思いますが、“もみほぐしの価格の相場”というものが、この10年で下がったと言えるでしょう。
そんな中、2019年10月より、りらくるは全国一斉に、急な値上げをしました。
60分 2980円(税抜き)から、3980円(税込み)へ。
…え!!約1000円も値上げ!!?
けれどそれは、アプリを普及させる為の作戦でもあり、「アプリ登録をすると60分 3600円(税込み)で受けられますよ」のお話付き。
一見、「アプリをご登録頂いた方が、通常価格の3980円よりも380円お安いですよ!」とアナウンスできるものの、一歩引いて見ると、けっきょく以前の価格よりは、税込で390円高くなっています。
この大変更は、世のお金の価値が変化する“2019年10月の消費税増税”のタイミングで行われました。
一律8%だった消費税率が一部食品等を除くものの、基本10%に値上がりしたのは比較的最近のことです。ニュースでトイレットペーパーの買い溜めが取り上げられたりする等しましたね。
それはそれはもぅ、「便乗値上げだ!」と、スタッフからもお客様からも、驚きとショックの声が飛び交いました。
ここでは、その当時の様子と、1年4ヶ月経った今のお声の変化について、記していきます。
「りらくるが便乗値上げした!」お客様とスタッフそれぞれの反応
「りらくるが便乗値上げした!」と言われた、まさにその当時、現場でどうような苦労があったのか、なかったのか…(^_^;)
セラピストの目線からですが、スタッフとお客様、それぞれの様子についてご紹介します。
セラピストからの「ちょっと待ってくれ!!!」
私たちセラピストは、個人事業主として働いており、1日1日、お客様からの売り上げの一部で収入を得ています。
もしも突然、お客様が来なくなってしまったら、、、、、?
当然、時給でも月給でもないですし、何の保証も無いので、単純に収入が減ります。
では、お客様にたくさん来ていただくには?
やっぱり“安くて上手なセラピストがいるお店”が1番ですよね。
これまで、それを強い売り!だと思い、格安りらくると共に頑張ってきたセラピストがたくさんいる中、
急にお値段を上げます!と言われたら…当然、不安になります。
「これまで来てくれていたお客様が来なくなるのでは、、、、、」
「そんな急に金額が上がったら、技術面でも何か変化をつけないと、、、今までと同じでは常連のお客様から不満の声が上がるのではないか、、、、」
さほど施術内容が変わらないのに、お値段だけ上がるなんて、お客様も納得がいかないだろうと想像します。
値上げをご理解いただくための説明も自分達で行わなければならず、覚えることも、対応も増えました。
それでも私たちは、本部の指示の通り「まずはやってみるしか無い!」ということで、色々な不安を抱えつつも、ポジティブな気持ちを呼び起こして、来てくださるお客様に向き合い続けました。
1日1日、お客様に同じ説明を何度もお伝えしました。
この価格が「いつか“あたりまえ”になる時がきっと来る」という気持ちを持って、今できる接客をそれぞれ行っていました。
値上げ前との明確な2つの違い『メニューとシステム』
値上げ前と何が違うのか、わかりやすく変化した点として、大きく2つあります。
- 施術メニューの追加
- 利便性の向上
2つの施術メニューが追加されました!
- ヘッドコース
- ハンドコース(オイル使用)
が追加されました。
ヘッドコースでは、特に、頭や目の疲れを気にされている方やストレス過多のときに◎
ハンドコースでは、パソコン、持続的なデスクワークによる、抹消からの神経ケアや、精神的な癒やしを求めるときに◎
対応できるコースが増えることで、よりお客様のお疲れに、寄り添えるお店になりました。
電子マネー・クレジットカード決済に対応&りらくる専用アプリが登場しました!
- りらくる公式アプリ
- クレジットカード決済
- PayPay等のQRコード決済
りらくる専用アプリは、かなり便利です。
たぶん、面倒なのは始め(登録)だけですが、それも本当にカンタンです。
- メンバーズカード不要!
- 空き状況がわかる!
- お得なクーポンがもらえる!
- 24時間ネット予約できる!
ポイントも貯まるし、履歴も残ります。担当やコース、利用店舗などが一目瞭然でわかります◎
クレジットカードや電子マネーが利用できることで、いつでも利用しやすくなりました◎
お店としての利便性は、確実に向上したと思います。
クレジットカードは、使う側には便利しかありませんが、お店側には、決済手数料が発生します。
※りらくる規模になれば、割安で契約される可能性もありますが。
仮に、クレカ会社に支払う決済手数料が3%だとすると、3,000円のクレカ払いで、90円を決済手数料として持っていかれることになります。
だから、100均などの格安店舗では、いまだにクレカ不可のところも多いのです。
ただ時代的に、電子マネーやクレカ払いが日常化がしていくことが自明な今、避けては通れないクレカ払い、避けては通れない値上げとしての側面もありそうです。
ともあれ、“進化したりらくる”として、
少しでもリニューアル感を出そうと、セラピストそれぞれ、会話や技術に工夫を凝らしていました。
お客様に、価格とサービスのバランスに対して、少しでも納得してもらいたかったからです。
値上げを受けたお客様の反応
お客様はどうだったでしょう。
正直、お客様皆様がどう思っていたかは、聞き出すことができません。言われた通りに値上げの理解をして、二つ返事で受付される方も多かったのです。
ただ、言葉にしてくださった方々のお声としては、
「そんなに上がったのか」
「いや、今までが安すぎたよね」
の、2つに分かれていたと個人的に思います。
もみほぐしのお店でも、街の中にあるお洒落なお店や、入浴施設やホテルご利用時に受けられるものは、りらくるより比較的お値段が高くつきます。
日頃、そのようなサービスもご利用されているお客様からすると、りらくるの価格はこれまで安すぎたし、安いのに上手だったり熱心にほぐしてくれるセラピストもいるから、「もったいないね」と言われることは多々ありました。
しかし、お値段重視の方からすると、急な値上がりはイタイと感じたようです。
今は、クーポンやポイントを上手く活用しながら、少しでも安く受けられるお店を探す方も多いと思います。
特に、指名をしていないお客様の場合、りらくるじゃなければダメだという訳では無いでしょうし、選べるくらいに今はお安いお店も増えました。
現場での肌感ですが、私達の想像通り、もっと安いお店を探して、りらくるから離れていくお客様も多くいたと感じました。
想定外!値上げ半年でコロナウイルス流行!
お値段が上がって2〜3ヶ月は、値上げを知らないお客様からのお電話も多く、セラピストはその都度、値上げ価格での施術交渉をしながら営業を続けました。
しかし、繁忙期の年末年始を過ぎてから、ガタッとお客様が減りました。
60分以上のコースを希望されるお客様が多かったはずが、45分(通常価格 ¥3100/アプリ価格 ¥2800)の需要が増えました。
やはり“3000円程度での施術”のイメージを根付かせてきた影響なのでしょうか。
もともと、お正月を過ぎてからゴールデンウイークまでの冬〜春は、特にお客様が減りやすい傾向にあります。
それに輪をかけてコロナウイルス感染症が大流行し、人との接触を避ける呼びかけが、全国で広がり初めていた時期でした。
私たちの仕事は、接触しない訳にはいかないお仕事です。
これからこの業界は、コロナとどう戦っていけば良いのか、右も左もわからず、ただ毎日、これまでと同じように仕事を続け、お客様を待ちました。
想定外からの想定外!?りらくる“値上げ”の印象が、コロナにより打ち消された!?
りらくるは、2020年の4月半ば~5月の下旬まで、約1ヶ月強の休業期間を設けました。
全国一斉緊急事態宣言によるものです。
休業期間の直前(2020年1月〜3月頃)
休業期間の直前の2020年1月〜3月頃、ご来店されるお客様が激減していた理由は、
- 値上げなのか
- コロナなのか
- 例年のことなのか
正直判断はつかないですが…
おそらく、全部絡んでいたと思います。
ゴールデンウィークに稼ぎを挽回!、、、、なんて思いも、休業期間と丸かぶりで叶いませんでした(T_T)
休業期間明け(2020年5月下旬~)
しかし、休業明け、開店と同時にお客様がたくさんご来店されました。
ベッドご利用数を半分に減らしている関係もあり、毎日のように、1〜3時間待ちの状態で、お店はソーシャルディスタンスをとれる範囲で大繁盛。
お値段改正のお話をするも何も、『早くやってくれ!!!』そんな状態です。
価格でお店を選んでいる余裕など無くなったのかと思うくらい、ご予約なしの飛び込みでご来店される方も多くいらっしゃいました。
私たちセラピストも…
- 驚き
- 安堵
- 3密の気遣い
色々な気持ちが入り混じった、複雑な思いの中、流れのままにせっせと仕事をさせて頂きました。
値上げよりコロナ(~2021年現在)
そんなこんなをしているうちに、値上げの説明を低姿勢で交渉する接客から、堂々と今の価格で勝負する接客に変化していきました。
値上げに拒否的な反応をするお客様との出会いもほとんど無くなり、いつしか今の金額が、“りらくる価格”に自然と馴染んでいたように思います。
もちろん、昔の記憶のままお電話してこられる方は、今もいらっしゃいます。
ただそのような方は、滅多に来られない方です。
今定期的にご来店されている方は、もう値上げを受け入れ、快くリピートして下さっています。
値上げは、大きな打撃を呼んだことは間違いないと思います。
ただ、もしかすると、嫌だ嫌だとされているコロナウイルスに、どこか救われて成り立った部分もあるのかもしれません。
ある変化(マイナス)が、必要な変化(プラス)のキッカケになることもあり…総じて時代は回っていく!?
まとめ
高くなっても、“また行きたいお店”であり続けていられることに、私達セラピストが、まずホッとしています。
今となっては、値上げをしたのに「りらくるは安いよね」と言っていただけることもあれば、新規のお客様のご来店も度々あります。
そして、値段うんぬん以前に、“この仕事は誰かに必要とされている”と強く心に留めて、形や価格を変えても“提供し続けること”に、大きな意味がありそうです。